ニュースや被害事例で注目されるのは主に「ヒグマ」ですが、日本で最も広く生息しているのはツキノワグマです。多くの人は「ヒグマほど凶暴ではない」「臆病だから大丈夫」というイメージを持ちがちですが、実際にはツキノワグマでもヒグマと同様に重大な事故につながる危険があります。
今回取り上げた“うつ伏せ防御”の問題点や、ハンター・体験者が語る現場の危険性は、決してヒグマだけの話ではありません。ツキノワグマにも共通する部分が多く、「本州だから安全」という油断が最も危険です。
この記事を読むとこんなことが解決します。
・ツキノワグマもヒグマ並みに危険な理由が分かる。
・うつ伏せ防御が通用しない場面を理解できる。
・遭遇したときの現実的な対処法が分かる。
YUJIROアウトドア歴20年以上で元警察官の私が、熊の専門家の知識も踏まえてご説明します!
ヒグマの事例から見える「うつ伏せ防御」の限界
ハンターや実際に襲われた人たちの多くが語るのは、うつ伏せ防御が“最初から選ぶべき姿勢ではない”という点です。体を丸めた瞬間にクマにひっくり返され、首や腹部を狙われるケースが実際に報告されています。
確かにこの事例はヒグマのものですが、ここで示された危険性はツキノワグマでも共通しています。両者ともに、前足の力は人間と比べものにならないほど強力で、丸まった体勢を維持するのは困難です。
ツキノワグマは臆病と言われるが、「怒り」「驚き」「子連れ」は別物
ツキノワグマは一般に“臆病”“人を避ける”と言われますが、これはあくまで「十分な距離がある場合」の話です。近距離での突然の遭遇、子連れ、冬眠前後の個体、エサが不足している地域では、攻撃性が急激に上がることが知られています。
実際に、本州でもツキノワグマによる頭部損傷・顔面損傷・内臓損傷を負った事例は珍しくありません。これらはヒグマの被害と形がよく似ており、「体格が小さいから安全」という考えが通用しないことの証明でもあります。
体験者の声に共通するもの:ツキノワでも“丸まる余裕はない”
本州の被害者の体験談でも、ヒグマと同様の声が多く見られます。
- うつ伏せになる前に距離が詰められた
- 伏せた瞬間に転がされた
- 背中・肩・腰を噛まれた
- 手で顔を守れたことで生存できた
- ザックやポールが盾になった
ツキノワグマの体格はヒグマより小さくても、人間を強く引き倒すだけの力があるため、うつ伏せ防御だけに頼るのは危険です。
結論:ヒグマの危険性は“ツキノワグマにも当てはまる”と考えるべき
ヒグマはより強力で、捕食目的の攻撃もあります。しかし、だからといってツキノワグマが安全というわけではありません。両者の共通点は、「人間の常識が通じない圧倒的な身体能力を持つ」という点です。
うつ伏せ防御はあくまで「どうにもならない状況での最終手段」。最初から選ぶべきものではなく、ヒグマ同様にツキノワグマでも通用しない場面が多いと考えるのが現実的です。
- まずはゆっくり後退して距離を取る
- 物を投げて時間を稼ぐのも有効
- 襲われる場合は戦意を持ち、武器になる物を使う
- うつ伏せ防御は最終手段
本州のツキノワグマ生息域は広く、遭遇リスクは“北海道以上に身近”と言えます。ヒグマの事例を他人事にせず、ツキノワグマにもそのまま当てはまる危険として理解しておくことが重要です。







